日々雑感315「契機・理由・背景」

 ボクシングの漫画に感動したことが契機となり、女性お笑いタレントがオリンピック出場をめざしている。それにしても、なぜボクシングの漫画を読んだのだろう。たまたまなのかもしれないが、やはりそれなりの理由があるように思う。また、そのような理由を生み出した背景も無視はできない。
 僕たちの日常生活の中で、この「契機」「理由」「背景」が言葉として意外と混用されているような気がする。敢えてこれらの言葉を使い分ける努力をすることによって見えてくるものがあると思う。

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日々雑感314「不自由な現代人」

 取りあえずの自由を自由として味わえば、それで満足する人もいれば、どこまでも自由でなければ満足しない人もいる。満足感と一緒に語られる自由が、自由として大手をふるう。何とも罪なものだ。
 いけないのは、見せかけの自由を目の前にちらつかさせ、人を操る人だ。頑張ればちょうど手が届きそうなところにそのようなものをちらつかせるのは何とも腹黒い手口だ。その手口を次なる者に何の臆面もなく平気で感染させながら、恩着せがましくふんぞり返っている御仁は、愚か者以下の情けない何かだ。
 その何かが「人間というものはそんな綺麗なモンじゃないよ」と言わんばかりの知ったふうな顔つきで生きているのを時折見かけるが、これにはいささかげんなりさせられてしまう。そうしたところから早く卒業してほしいものだ。
 若い世代の人々は学生のうちに自由というものをしっかり理解しておかねばならない。もっとらしいシステム、もっともらしい思想、もっともらしい情報や知識。そうしたものにいいように操られて、それでへらへらしていられるのは、それはそれで幸せなのかもしれない。しかし、年相応の洞察力を身につけ、是を是とし、非を非とすることに命をかけてほしい。そこに必要なのが「自由」だ。生き生きとした自由というのはそういうものだと思う。
 現代日本人は、こうした根本的は意味での自由を恐れているようにみえる。そのように仕向けられているのだから仕方ないのかもしれないが、知っていてそうした状況にあるのと、知らなくてそうした状況にあるのとでは、天と地ほどの差があるというものだ。

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心の断片318「決意」

「決意」

吹き抜ける風が
こんなに心地よいのは
どうしてだろう
喧噪や騒音を
聞き流せるのは
どうしてだろう
重低音と電磁波が
心臓をしめつけなくなったのは
いつからだろう
粉塵と矛盾への苛立ちが
脳を痙攣させなくなったのは

つくりかけのアルバムが雪崩れ
書き始めた手紙がごみ箱を埋める
今日という今日は
貧しい武器を片手に
荒野に身を置こう
生け贄の綱渡りを
やめようと思うのだ

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心の断片317「ゆるやかな衝動」

「ゆるやかな衝動」

偶然の神と
必然の神が
いつも入れ替わって
同じ顔をしている
この奇妙な立体感を
手製の白昼夢の中で
かろうじて調整し
僕は今日この一日を
意味あるものとした
生きるということの
大方の部分は
たぶん
そうした単純な
慎ましやかな繕いの積み重ねに
支えられている
何か花火を突然
打ち上げたくなるのは
おそらくそのせいだろう

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心の断片316「美しい花束」

「美しい花束」

花束を作るな
その花束はどうして束ねた

決して一緒には咲かぬ花を
その植物の
死骸を
寄せ集めるな
切断面から赤い血が出ないことを
それをよいことに
寄せ集めるその目的は何だ

植物の
性器を意味もなく
寄せ集めるな
虫がくれば追い払う
その手は何を企んでいるのだ
そのために進化したと
こじつけるのか
そのために
うねうねと大脳を
育んできたというのか

この蛮行を許すのは
人間のいかなる心か
もの言わぬ植物を
だから愛でるというのか

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心の断片315「深み」

「深み」

暗黒の深き海底を
ずんずんと這い回る
この生き物は何だ
仲間をさがして
獲物をさがして
ずんずんと
死骸を吹き上げ進みゆく
世の中の死骸を
死骸の破片を
その痕跡を蹴散らしながら
仲間をさがして
獲物をさがして
ずんずんと
這い回るおまえは何だ
おい おまえだよ
どうしてそのように生まれた
その足跡は誰のためにつけた

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心の断片314「乾坤一擲」

「乾坤一擲」

立ち上がるには
まだ早いのだ
もう少し様子を見て
ゆっくり休まねば
しっかりと働けまい
流されることなく
流れを作るのは
容易なことじゃないからだ
いまはただ
静かに息を整えよう
乾坤一擲の
そのときを
間違えてはならぬ
立ち上がれねば
それはもう
立ち上がっているか
遂に用もなく
立つ場を失っているかだ

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