昔ある山奥の洞窟に蛇が住んでいました。胴周りは大人が一抱えするほどもあり、狐でも狸でも丸飲みにできそうなくらい。名前を五郎太、五郎次といいました。兄弟の蛇です。
大きくて目立つということなのでしょう。生まれつき、迷彩色の皮膚をしていました。皮膚といっても蛇ですから、うろこです。とても見事な迷彩模様で美しく、誰見せるともなく、五郎太と五郎次はそれが自慢でした。
洞窟の出口のあたり。少し茂ったところ。大きな体をだらんと伸ばし、ひなたぼっこをしていても、じっと動かないせいか、誰も気づきません。五郎太、五郎次がいるとも知らずによってくる野ねずみ、それに名も知れぬ小さな虫たち。そんな小さな生き物を細々と食べて暮らしていました。
動き回って探すわけではありませんから、ほんの少しの食べ物です。働くわけでもなく、遊んでいるわけでもないので、たくさんは要らないのです。ここまで大きくなったのは、たくさん食べたからではありません。ただ長いこと生きてきたからでした。そして、これまで生きてこられたのは、この模様のおかげでした。二匹にとってうろこの模様は、御先祖様からの大事な大事な賜り物です。決して傷つけてはならぬ宝物です。
ある日、遠くの方からチリンチリンという音。これまで聞いたことのない奇妙な音で五郎太は目を覚ましました。五郎次はいつものように目を開けたまま寝ています。何だろう。五郎太のそのそ洞窟の外まで這い出ます。
もとより手足のない蛇ですから、這うのが当たり前。手足がないおかげで、足をくじくこともないし、転ぶこともありません。膝をすりむいたり、爪がもげたりもしません。余分なものは何一つ突きだしていない、無駄のない体は神様が考えに考えた姿なのでしょう。しなやかで太くて力強い体を我ながら立派だと五郎太はいつも自慢に思っていました。小さいころは、お気に入りのその体をいろいろな形にかえて遊んだり、五郎次とお昼寝をしたりして平和に暮らしていました。平和なのは今も同じです。
さて、話を元に戻しましょう。
チリンチリン。チリンチリン。奇妙な音がする方向を眺めてみると、そこには見たこともない奇妙な生き物がいました。蛇のようでもありますが、縦長です。よく見ると、蛇のような体の途中に枝のような足がくっついている生き物です。上の方から垂れ下がっている足は地面についていないので、哀れなことにぶらぶらしています。前に進むと、いつちぎれるか分からないほど危うく揺れてしまいます。枯れ木や枯れ草のように地面から生えた形の不思議な生き物です。
何となく五郎太はわくわくしてきました。無理して見れば、おれたちに似ていないこともない。体にも模様がついています。何となくからだがぶわぶわしているのは、皮を脱ぎかかっているのでしょうか。これは新しい仲間かもしれない。五郎太はそう思ったのです。
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・・・蛇さんが死んじゃう展開はやですー(TT)
(と願望を言ってしまう読者
やっとコンピュータがなおった。2週間に一回は壊れて起動しなくなる。もう5年たつからなあ。あ、蛇はまだ死なないよ。その2はどう展開させようか。