創作昔話11「素直な蛇」その3

 「こんな枯れ木のような体で、道のないところを歩いてきたのじゃから。折れ曲がっても仕方あるまい。」と五郎太は思いました。こんなに折れ曲がって痛くないのだろうか。ぶらぶらの足も、そのうち腐れ落ちて、わしらのようにすっきりした体に近づくのだろうかと、ぼんやりと考えながら、裸でしゃがんでいるサエを遠巻きにしました。大蛇だから一匹でも遠巻きにできるのです。
 「妙じゃな。」こんなに折れ曲がっているのに、サエからは血のにおいが少しも漂ってこないのです。うずくまって動かない生き物は、これまで大抵傷ついていて、血の臭いがしていることがほとんどでした。また、抜け殻もおかしなふうに小さくなっていますし、きちんと綺麗だった。五郎太にはサエの服が抜け殻に見えたのです。おかしなふうに小さくなっているというのは、きちんと畳んであるということです。これはサエのやったことです。そして、サエの服はとても良い匂いがしていました。お香をたきしめてあったのです。
 そう、サエは捧げものでした。不作続きの村々は山の神に捧げものをしようと決めたのでした。服を脱いだのもそう教えられていたからだし、山々をさまよううち、死ぬほど寂しくなっても泣かなかったのは、村々のすがるような期待を小さな背に背負っていたからです。そして、大人しく身を捧げるようにと言い含められていたからこそ、尋常な娘ならたまげてしまう五郎太の姿を見ても、平気だったのです。それどころか、これでみんなの役に立てると心からうれしく思うのでした。見たこともないような大きさの五郎太をサエは山の神に違いないと思ったのです。

どこにいるの? について

「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
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