怪しい広辞苑108「第四版133ページ・緯書」

 謎だ。広辞苑第四版133ページ「緯書」の5行目。
 「佚文(いつぶん)を伝えるのみ」とあるが、不自然な表記だ。緯書は焚書の被害にあったので、佚文だけが伝わっているという内容は理解できるが、表現が不自然だと思うのだ。経書や緯書を語る場合は「佚文」という表記をしなければならないという慣わしがあるのなら仕方ないが、現代版の辞書なのだから、古い表現をしている引用文以外は、現代風に表記するのが適切な処理ではないだろうか。
 ここは常用漢字を使い「逸文」とすべきところだろうと思う。常用漢字は、そのように書かねばならないという決まりではないが、わざわざ「佚文」という表記をした挙げ句に(いつぶん)という読み仮名を付けるという処理の仕方は、不自然だと思うのだ。「逸文」を使用するなら、敢えて読み仮名を付ける必要もないはずだ。
 もしかすると、「佚文」の「佚」の方が「人の手によって失われてしまった部分がある」という意味を見た目に強調することができるという配慮があるのかもしれない。確かに「逸」だと、「秀逸」な文というとらえ方をされてしまう可能性はある。しかし、焚書によって秀逸な文章だけが残るというのは不自然だ。どちらかというと、秀逸な文章の方が焚書の対象として狙われるのではないだろうか。
 敢えて読み仮名を付けたということは、どうしても「逸文」よりも「佚文」にしたかった理由があるのだと思う。その理由が謎だ。謎が多ければ多いほど怪しい存在になってしまう。広辞苑を怪しい書物にしてはいけない。そのためには、専門家にとっては当たり前のことでも、利用者が一般人であることを忘れずに説明したり、表記したりすることを心がけることだ。これなしにして売り上げは伸びないと思う。
 ちなみに「佚文」を広辞苑第四版で調べてみると、見出し語に【逸文・佚文】となっていた。他に併記されている例を見ていくと、上に書かれた表記が一般的で、下に書かれたものは現時点では一般的ではない表記になっている。やはり敢えて「佚」を使用したのには何か深いわけがあるに違いない。
<地味な表紙だけれど五体字を紹介 画像クリックで説明画面へ>

どこにいるの? について

「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
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