日々雑感238「ドライアイと友達になる」

 ドライアイという症状は非常に不快感がある。目薬を差せばその時ばかりは快適になる。だが、結局は対症療法なのだろうと思う。全くらちがあかない。防腐剤入りの目薬はやはり避けたい。それに目薬は使い終わる前に期限が切れるか、どこかへいってしまう。
 鼻涙管を小型モーターで絞ったり緩めたりして眼球上の涙量のコントロールができれば、涙目状態にできるかもしれない。そうすればドライアイの症状を軽減できるはずだ。でも、腐っても生命体。そんなことをすれば別の支障が起こるに違いない。ドライアイと友達になる方法を見つけなくてはならないということだ。何とかならないものか。例によって、十種類の方法を捻出しよう。

①目を閉じる
 目を開けている間はとにかく乾燥していく。だから、目を閉じるのはその場しのぎだ。そのうえ、車の運転中には目を閉じることなどできない。しかし、夜の信号待ちなどでは可能かもしれない。前の車のブレーキランプが瞼ごしに明るく感じられるから、前の車のブレーキランプが暗くなったのを感じてから目を開けて発車させればよい。もちろん、先頭に停車しては駄目だ。ただし、疲れているときには危ない。そのまま寝てしまい、追突事故をおこす可能性がある。
 従って、片目ずつ行うという極めて不自然な方法をとらねばならぬ。しかし、これなら夜でも昼でも構わない。また、片目なので、夜の対向車のライトで目がくらむこともない。ただ、片目では遠近感がつかみにくいので、車の運転中であれば、停車時に限って行うのがよい。
 これを授業中にやれば、先生に笑われる。客商売でやれば、誤解を与えたり、無気味に思われたりして客足を失う。片目だけ無理に開けている状態というのは、かなり奇妙な印象を相手に与えることを忘れてはいけない。
 では、TPOに配慮すればよいのか。社会的にはもちろんそうだが、肉体的に片目ずつ目を閉じているというのは、自分自身が不自然な筋肉の使い方をすることになるので、相手を意識したTPOだけの問題ではなくなる。
 まず、不自然な表情によって、顔にしわが寄りやすくなるという美容上の問題が生じる。もっとも、顔面の筋肉が鍛えられるから、顔の表情が豊かになるという利点はある。豊かな表情は人間的な魅力に関係が深いから、捨てがたいトレーニングだという了解をしておこう。
 ところで、片目ずつで人の顔を見れば、遠近感がとらえにくく、凹凸があっても平面的に感じられる。これを利用して、彫りの深い顔立ちが多い西洋人を正面から片目で見ることにする。斜めから見たり、横から見たのでは台無しだ。すると、やはり平面的に見えるので、東洋人にありがちな平面的なつくりの顔に近くなる。同時に、顔が平面的な東洋人を見るときには両目で見る。少しでも立体的に見えるようにやや斜めから見るように心がければなおよい。すると、感覚の歩み寄りで顔の凹凸由来の刺激が平均化されていく。
 こうすれば、立体的な顔の構造物によって攻撃的な印象をもってしまい、それが外国人アレルギーの一因となっている人にとっては役に立つかもしれない。
 もちろん、背の高さに圧倒されることが外国人アレルギーの一因となっている人もいるだろう。その場合には、畳の座敷に誘い込んで座らせるという手がある。正座に慣れないでしょうからと胡座や横座りを勧めれば、足の長さがノーカウントになるうえに、背骨が湾曲するので、その分だけさらに座高が低くなる。こちらは正座をして背筋をぴんと伸ばせば、何とか目の位置を同じぐらいにすることがなるだろう。
 いずれにしても、片目で交互に見つめるのは、たとえ相手が外国人であろうと日本人であろうと、人間として不自然な行動だ。大きめのサングラスをかけ、片目を閉じていることを相手に隠さねば失礼というものだろう。失礼であるばかりか、周囲の人々にきっと怪しい印象を与えてしまう。実際には、片目交互凝視がばれなくても、大きなサングラスをかけている段階で既に怪しい印象を与えてしまっているから、あまりよい方法ではない。
 もっとも、できるだけ多くの人が同じように大きなサングラスで目を隠すようになれば、片目で見つめる行動もあまり大きな問題にはならないはずだ。どの日本人も同じサングラスをかけていれば、少なくとも外国人観光客はこれが日本の習俗だという了解をしてくれるだろう。もしかすると、同じサングラスをおみやげもの屋で購入して、片目交互凝視の隠蔽に貢献してくれるかもしれない。 

②悲しいシーンを思い出す
 年齢を重ねるとともに涙もろくなるという。年齢の分だけ経験を積み重ねてきたからだ。経験を積んだだけ物事が分かり、人の気持ちも理解できるというわけだ。つまり、感性が磨かれていくということだ。もちろん、それだけが理由で涙もろくなるわけではないが、このように格好よく理解しておきたい。
 涙もろいということは、ドライアイに対抗するにはかなり有利なことだ。特に泣けてくる映画のワンシーンを詳細に記憶するとよい。目が乾きそうになったら、そのシーンを思い出すのだ。これで目に潤いがもたらされる。
 しかし、人間というものは悲しいもので、こうした涙腺をアタックする悲しい刺激にも次第に慣れていく。感性の鈍磨が部分的、一時的に起こるのはどうにも仕方ないことだ。
 そこで、別の映画の泣けるシーンを使ったり、実生活の中での悲しい出来事なども使ったりしなければならない。悲しい刺激が麻痺するのを防ぐための努力を怠ってはならないのだ。また、そのための悲しみだと逆転の発想をすれば、悲しみもコントロールしやすくなるというものだ。
 最近は実写化された「テラビシアにかける橋」を見て、少しうるっと涙をにじませることができた。これで一か月はもちそうだ。
 味覚は年齢とともに鈍磨すると言うが、こうした感性も、一つの悲しみでドライアイを克服できる日数の変異を記録し、ドライアイの進行具合と比較すれば、鈍磨の度合いを確かめることができるかもしれない。もっとも、どの程度忠実に悲しいシーンを思い出せるかという記憶力やどの程度アレンジして思い出せるかという想像力も関係してくるので、この記録だけでは判断が難しいだろう。
 
③水中眼鏡をかける
 花粉症で涙や鼻水がいっぱい出てきてしまう人は、ドライアイの辛さ以上のものを味わいながら、それに耐えているのだから、立派なものだ。だが、水中眼鏡をかけて花粉から目や鼻を守るという単純な方法で涙を防げるはずだから、立派だというよりも、水中眼鏡をかけないという心意気を讃える程度が相応だろう。
 ドライアイ対策で、目の乾きを防ぐための水中眼鏡の着用というものは誰でも考える。さらに、その水中眼鏡の中に水を入れて着用すれば、絶対に目は乾かない。しかし、長時間にわたって着用すれば、瞬きが必要が無くなり、かえって水中眼鏡無しの空気中の生活に支障を来す可能性がある。
 果たして、競泳用の水中眼鏡に水を満たして日常生活で着用している人はどれ程いるだろう。デザインがファッショナブルになれば、日常の小道具として利用する者も出てくるかもしれない。趣味によっては水中眼鏡用の色水を透明から水色や桃色に変えて、サングラスのように使う人も増えてくる可能性がある。
 海女さんたちが使うような水中眼鏡にシュノーケルを付け、シュノーケルの先にフィルターを付ければどうだろう。これなら競泳用の水中眼鏡と違って鼻も守れる。シュノーケルにフィルターを付けた分だけ息が苦しくなるが、細かい目でこしとるようなフィルターではなく、花粉自体を吸着するようなタイプにして、空気は無抵抗に出入りできるようにすればよい。ただし、これもファッション的に無理があると見なされる可能性が高いので、自宅用ということになろう。

④あくびをする
 呼吸を少なめにしておけば自然にあくびも出よう。そこまでしなくても、あくびは人から移るので、何とか見つけてあくびを眺める。もし、誰もいなければ、鏡の前で自分であくびの真似をしているうちに、本当にあくびが出て涙で目が潤う。鏡がなければ、あくびをしている人を脳裏に思い浮かべるだけでよいが、想像力の弱い人は効果が薄いので、あくび用の小さな手鏡を持ち歩く必要がある。
 デスクワークでは、最近のパソコン画面は鏡のように反射のきついものがあるので、部屋の照明との角度と背景色を工夫して鏡代わりにすればよい。ただ、それでははっきり見えないので、他人もしくは自分のあくび動画を作っておき、パソコン画面に出せばよい。
 退屈になればあくびが出るので、退屈になればよいのだが、これは案外難しい。緊張して呼吸が浅くなれば、あくびも出やすくなるから、緊張する場面を生活の中で作る。どういう種類のどの程度の緊張が自分のあくびに合っているかを探しているうちに必ず見つかる。また、訓練次第で、その状況を思い出しているうちにあくびを出せるようになる可能性がある。
 緊張のあくびか、退屈のあくびか、ドライアイ対策のあくびか、それとも病気の症状としてのあくびか。これを見極めなくてはならなくなるのが、少々厄介だ。

⑤風呂に入る
 湯煙が立っていれば、心理的にも効果がある。風呂に約三十分入っていたとしよう。起きている時間を約十八時間とすれば、約三%はドライアイの辛さを感じている時間を軽減できる。湯上がりのドライヤーは当然目を閉じて行う。
 確かに湯船に浸かっていれば、瞬きはほとんど必要ない。入浴前に湯船の蓋を取って予め浴室の湿度を高めておいたり、頭の部分を残して湯船に蓋をし、できるだけ効果的に目に湿気が集中するようにしたりすることも忘れてはならない。

⑥ラーメン、うどん、蕎麦、各種スープなどの水蒸気を利用する
 湯気が白く見えれば、心理的にも効果がある。これらを必ずメニューに入るようにする。各種スープの中にはもちろん味噌汁が含まれている。会食の人数が多いほど部屋の湿度が上がるから、孤食は避ける。スープは次第に冷めていくから、加熱した石鍋などに入れるとよい。特に石鍋ラーメンなどは旨そうだ。
 料理店であれば、料理が出てくる前に、熱いおしぼりを出す店も多いだろうから、それを目に当てればよい。
 自宅の部屋では加湿器を利用する。加湿器では能力に限界があるから、ひどいドライアイでは、できるだけ小さい部屋で電気ポットなどで湯を沸かし続ける。部屋中に湯気がたちこめる状態になればかなり楽だ。しかし、天井から水滴が落ちてきたり、紙が湿気ってぶよぶよになったりするから、電気製品をはじめ、いろいろな物が傷む。何事も加減というものが大事だ。
 もちろん少しでも風が起きないように工夫し、湿気が飛ばないように細心の注意をはらう必要がある。

⑦汗を出す 
 発汗作用のある物質を含ませた料理を増やす。カレーなどは特に発汗するので、体の周りの湿度を上げる効果が期待できる。麺類やスープ類に唐辛子をかけるのもよい。
 またそうでなくとも、単に熱いスープを多めに飲めば、体温が上がり、発汗するので、体の周りの湿度が上がる。
 こうしたものがなければ、汗の代わりに目の下のまぶた辺りを中心に水で濡らす。そのために海綿やスポンジで専用の小物を作って水分を含ませておけばよい。円筒形の口紅ケースを流用して海綿やスポンジに水を含ませておけば、スマートに塗ることができるだろう。
 そうした準備もなければ、水道の蛇口もないということになれば、指に唾を付けて目の下のまぶた辺りを塗るという手もあるが、行為としてはかなり下品だ。仕方ないから手に汗握る緊張感を味わえる行動に出る。
 偶然に手に汗握る白熱したスポーツ観戦をしているときにはよいが、仕事中であれば、社内いじめが得意な上司にそれとなく反抗するとか、クレーマーに積極的に先手アタックするのがよいだろう。これによって掌に汗が出るので、さりげなく頬に掌を当てながら、手の体温と手指を利用したダクト効果で湿気を目に導くことができる。ゆっくりと息を吐いてこの流れにのせればさらに効果がありそうだ。
 単純に掌をスプーンのようにして、目を覆うという方法もよい。これは片目ずつ行わないと、泣いているのかと勘違いされるので、仕事場では注意が必要だ。

⑥姿勢に注意する
 気持ちうつむき加減にする。肺から湿度を奪って外に出た呼気が顔に沿って上るように、緩やかに息をする。このときにややうつむいていると、目に湿気のある空気が当たる。顎を上げていては呼気に含まれる湿気はほとんど期待できない。

⑦マスクをする
 うつむくのが性に合わなければ、マスクをする。眼鏡が曇るということはそれだけ目の方に湿った呼気がいきわたっている証拠だ。ウェットタイプのマスクを開発してもよい。単純に普通のガーゼマスクを水で濡らせばよい。
 
⑧目を細くする
 二重でぱっちりした円らなまなこでは、乾く表面積が大きいので、一重にする。整形手術をしてもよいかもしれないが、通常と逆の手術なので医者から不審に思われる。近視なら眼鏡を度の低いものに変え、自然と目を細めて物を見るようにする。

⑨特殊付け睫毛に頼る
 睫毛は付け睫毛とする。空気中の湿気を含みやすく、また乾燥時には湿気を放出しやすいように設計したドライアイ専用の睫毛を開発する。毛先で湿気をとらえ、それが毛の根元で放出されるようになっていればよい。ふさふさ睫毛になってしまうかもしれないが、文字や柄をプリントしてファッションにしてしまえば苦にならない。

⑩瞬きをゆっくりにする
 瞬きは、文字どおり瞬間だ。これをゆっくり行えば、目が空気に触れて乾燥する時間を少し短縮できる。
 対面しているときにこれをやると、眠いのかと思われ、失礼にあたる。自動車搭乗時はよいけれど、自動車運転中や作業中であれば、事故の原因にもなる。エレベーターやトイレ内では移動しないのが普通なので、好都合の場所だ。
 ゆっくり閉じてゆっくり開く方法と、ゆっくり閉じて瞬間(半瞬間?)に開く方法と、瞬間(半瞬間?)に閉じてゆっくり開く方法の三種類がある。それぞれ好みだ。閉じるときも開くときもゆっくりなのは、まるで目で呼吸をしているかのようで、不思議な感じを与える。閉じるときだけゆっくりなのは、眠そうに見え、開くときだけゆっくりなのは、なぜかかなり不気味だ。
 対面しているときに、この方法を使わねばならない状況となったときには、話題を何気なくドライアイにしていけばよい。高い確率で共感を得ることができるから、次に瞬きをゆっくりにする方法を紹介しながら実演し、不思議だの、眠そうだの、不気味だのと印象を語り合えばよい。しかし、その話題のときだけしかできないのが弱点だ。

どこにいるの? について

「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
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