怪しい広辞苑172「イラストマップ」


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 広辞苑第四版184ページ、広辞苑第六版204ページ「イラストマップ」一行目。「(和製語)」とあるが、これでよいだろうか。
 まず、「和製語」という語は広辞苑第四版の見出し語にはない。あるのは「和製英語」だけだ。和製仏語や和製独語も見出し語として載っていないから、もしかすると、無視しているのだろうか。ただ、言語を特定しない「和製語」という言い方によっていろいろな言語に対応させている可能性もある。しかし、今のところ、広辞苑第四版における「和製語」という表現は「和製英語」を意味しているように見える。
 ところで、広辞苑第四版1211ページでは「シュークリーム」の説明には括弧書きで(chou à la crèmeフランス)と書いてある。明らかにシュークリームとは発音が異なるが、シュークリームは和製仏語だと言ってもよいだろうか。もし、シュークリームが英語ならば、さしずめ靴墨といったところだから、誤解を生む単語として扱った方がよいかもしれない。まり、シュークリームにもきちんと「和製語」という語句を示し、フランス語や英語では使わないようにしなくてはいけないという情報を与える説明にした方がよいかもしれない。仮にこうした場合、原語の後にフランスと記してあるので、シュークリームに対して和製仏語などと書かなくても「和製語」という語句をつけるだけでよいだろう。
 もしかすると、この見出し語の説明の括弧内で原語を紹介しているのだから、和製仏語、つまりフランス風の和製語だということは推して知るべしということなのかもしれない。それとも、所謂和製仏語ではなく、原語に近い外来語としてとらえているために「和製語」という説明をつけなかったのかもしれない。
 しかし、これでは説明の方法がどうにも曖昧な感じがするので、和製語として紹介している和製英語についてもシュークリームと同様に原語のスペルを記して和製英語であることを推して知るべしという姿勢を貫き、和製語なる説明の語句を載せないのがよいだろう。しかし、これでは和製語と外来語の線引きが利用者の判断に任されることになってしまう。もっとも、区別する必要があるかどうかは別の問題だ。
 さて、「和製語」と記されている他の語はどうだろう。広辞苑第四版1892ページ「ナイター」では、(和製語nighter)と記されている。しかし、先程のシュークリームの例にならって、ここは(night game)と原語を記すべきところだろう。また、原語を示しているのだから「和製語」は省略してもよいだろう。英語の場合は国名を省略するという方針に従えば、このように括弧書きの中に原語のみを書き込むことになる。
 ところが、「シュークリーム」よりも「ナイター」の方が著しく形が異なる。だからこそ、「ナイター」の説明にこそ原語を示すべきだと思うのだが、広辞苑第四版ではシュークリームの方だけに原語が記されている。これはどうしてだろうか。
 そもそも「イラストマップ」の方は(和製語)としか記されていない。是非、原語も紹介して、英語を使うときに恥をかかないような配慮をしてほしいものだ。発展途上の学生相手の辞書として期待されているのだから試験にも関係してくる。そこは英語の辞書を使ってくれということなのかもしれないが、学生は広辞苑だけで勉強しているわけでもなく、英語の辞書だけで勉強しているわけでもない。手近な辞書でもののついでに知識を広げていくこともあるのだ。
 少なくとも「和製語」という看板を掲げた見出し語には、原語を示すのがやはり良心的な配慮だと思うがどうだろう。もちろん、紙面に余裕があるならば、「和製語」という語句も省略せずに入れておくのが丁寧だ。

●追記:広辞苑第六版では、「和製語」という見出し語が加わっていた。

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「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
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