怪しい広辞苑175「海豚」


 <だきまくらのイルカならそばに置ける 画像クリックで説明画面へ>
 広辞苑第四版187ページ、広辞苑第六版207ページ「海豚」の説明。その中に「しばしば船舶に平行して走る。」とあるが、これでよいのだろうか。
 普通に考えると、ここは「しばしば船舶に並行して泳ぐ。」と表現するのがよいように思う。広辞苑第四版では「平行」となっているが、どう考えても「並行」という語でなければおかしい。同音異義語の問題が出されたとき、広辞苑で「海豚」の説明を読んでいた学生は点を落とすだろう。
 第一、「平行」になるはずがない。船舶は常に直線的に走っているわけではないのだ。海豚が寄ってきた船舶は、しばしば真っ直ぐにしか走ることができないため、目的地に無事たどり着くことができなくなるということなのだろうか。広辞苑風に「平行」をつかえばそうなってしまう。
 もっとも、「しばしば」というのは、船舶の進路が真っ直ぐだったり曲がったりしたときの、真っ直ぐだったときのタイミングをいっているのだという屁理屈を述べるかもしれないので、気をつけなくてはならない。
 また、「走る」というのは「船舶」の方であって、海豚ではないだろう。確かに海豚は哺乳類だが、5行目で「後肢を欠く」と広辞苑自らが説明しているのだから、走ることはできない。船舶の方は足がなくても、自動車が道の上を「走る」のと同じで、水の上を「走る」と表現するのが日本語の慣わしだ。
 広辞苑第四版では、「海豚が走る」ということをどうしても述べたいのだろうか。もし、そのような表現を流行させようというのなら、「鯨が走る」とか「ジュゴンが走る」とかも宣伝すればよいだろう。もっとも、ジュゴンの場合はゆったりした動きが多いように思うので、「ジュゴンが歩く」という表現も生み出されるかもしれない。
 これら「平行」と「走る」の二点において腑に落ちない表現をとっているが、これが新しい日本語の姿となっていくのかもしれない。その移行期にあっては少し混乱も生じるだろうが、日本語表現の統一に向け、辞書が持っている役割を十分に果たしていくように利用を促していけば、いつの日にか統一日本語表現なるものが辞書を下敷きとして実現するに違いない。それが過去の日本語とどういう異同があるにせよだ。収録語彙の多さからいって広辞苑に今後そうした機能を期待することになるかもしれないからだ。
 なんとか広辞苑第七版では説明の仕方を変えてもらいたいものだ。。

どこにいるの? について

「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
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