骨折経験がない幸せな人。いったいどれ程いるのだろう。ギブス姿は中学生に多く見られる。思春期をのりこえれば骨折も一段落するのかもしれない。しかし、高齢者の骨折も見逃せない。
骨折原因として考えられるものは、スポーツや喧嘩などの無理な身体活動、日常生活の不注意な身体活動、落石や自動車事故に巻き込まれて身体を強打するなど不可抗力による事故、骨密度が低いことや病気などによる強度が不十分となった骨自体の不健康などだろう。どれも心がけさえよければ避けることができそうだ。
「無理な身体活動」、「不注意な身体活動」、「予測不能の異常な外力」、「骨自体の強度不足」のほかにも骨折原因はあるだろうか。残念ながら一つある。自殺、あるいは自殺未遂による骨折だ。強いて言えば、医療行為による骨折もあるが、これは骨折というよりも切断だ。少々毛色が違うが「骨折り損のくたびれ儲け」という骨折りもある。
骨といえば、鉄骨。躯体のほとんどが鉄骨の東京タワーのような建築物は骨に少しだけ肉が途中にこびりついたミイラの失敗作のようなものだ。これを美しいと感じる感性の持ち主も多いだろうが、たまたま自分はその感性を持ち合わせていない。
それに比べてパーフェクトリバティーの大平和記念塔はほどよく肉の付いた建築物でほほえましく感じる。色が白くて骸骨のようにも見えなくもないが、凸凹感がなぜか目に心地よいのだ。
ところで、雨傘の骨というものは知らない間に折れていることが多い。まるで人の心のようだ。次に使うときに初めて気が付くというのがパターンで、そのときは急いでいるから代えもなく、仕方なくその日は骨折傘を使うはめになるというわけだ。
誰か痛がる傘を誰か作ってくれないかだろうか。傘の骨のしなりを感知して、そのしなり具合に応じた悲鳴音声が傘の柄から流れるというやつだ。しなり具合①「チョットイタイヨ!」、しなり具合②「イタ!」、しなり具合③「イタ、イタ!」、しなり具合④「イタ、イタ、イタ!」、しなり具合⑤「イターイ!」、しなり具合⑥「オレソー!」、骨折⑦「ピーポー、ピーポー」などと、しなる段階に応じて傘が叫んでくれれば、傘の角度を変えて風当たりを加減したり傘を閉じたりと、骨が折れないように対応することができる。
骨折予防雨傘は、アイデア商品として一時ブームになるかもしれないが、風の強い雨の日の大通りは悲鳴で満ちあふれることになり、誰の傘が悲鳴を上げているかが分からなくなるということで、バイブレーション機能も付けられたりするが、外国人にその異様さを指摘されて、一気に珍商品として廃れてしまうことになるに違いない。
傘の骨折率がどれ程か分からないが、高齢者の骨折率は二分の一を超えるらしい。縁の下の力持ち的存在の骨というのは、最初から一種の悲しさを漂わせているが、折れたときの無念の音は衝撃とともに初めての自己主張をして命を絶つ武士のようでむなしい。
その骨をむき出しにした東京タワーが、血の色に塗られていることもさることながら、なおいっそう悲しい存在に見えて切ないのは僕だけだろうか。
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