「夜の記憶」
三日月の夜は
人歩く
後ろ姿は群青の
ふたりひとりと
月の夜
風吹く夜は
家の中
明かり火鉢に
よりそいて
両手ならべて
かざす影
雨降る夜は
窓の外
道行く人は
急ぎ足
かすかに残る
息づかい
最後の夜は
胸の内
慣れ親しんだ
天井の
ひとつひとつの
節模様