突然思い出したこと132「冬の一日」

目を閉じて暫くしたら、ここはもう既に別世界のただ中。人の声も、車の音も、すべてがすべて危険な曖昧トラップだ。たとえ四方八方つくりものでも。見えぬ世界、聞こえぬ世界が真実でも。ここがいとおしいのだから、盲滅法生きるのも、精一杯で楽しければ、それはそれでよかろうよ。
僕は僕の道を選んでしまったが、人生の潮時、ターニングポイントで、いつまでもいつまでも腰を下ろしている君の目に映っていたのは何だったのかな?
僕が歩き出したその日、君は消えてしまったが、もしかすると君は僕だったのかもしれないね。すると、君の目に映っていた僕はいったい誰だったんだろう?
小さな小さな大衆食堂のささくれた二畳ばかりの席に、段ボール箱からはみ出したぼろ布のような古着と壊れたプラスチックおもちゃが無造作に積まれている。
歪んだガラス戸棚に昨日と同じ冷えた煮付けが並んでいる。ゆるく開いた黄土色のカーテンに冬のよわい日があたり、髪をつくろわぬ疲れたおやじが汚れた白衣のまま安物の煙草をくわえてもたれている。
僕は猫の頭を軽く叩きながら、柱時計が時を刻むのを、のんびりとそしていらいらしながら待っている。この特別の年月の最後に僕は空虚を抱いて大人になるのだ。

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「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
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