怪しい広辞苑233「腕枕」

 広辞苑第四版241ページ「腕枕」の説明。「自分の腕を曲げて頭に当て、枕の代わりにすること。」とあるが、これでよいだろうか。
 なぜここで、「自分の腕」と限定するのだろうか。頭の重さが苦にならない程度の発育状況にある子どもに対しては、親などがよくこの腕枕をしてやるのではないだろうか。また、男女の仲でもこうした腕枕をする習慣のある人たちだっているだろう。従って、「自分の腕」と決めつけてしまうのは、意味を限定しすぎだと思うのだ。
 さて、「腕を曲げて」というのもどうだろう。自分のためでない「腕枕」を行う場合でも、腕が伸ばせないような狭い場所でない限り、「腕を曲げる」ということはしないのが普通ではないか。このように考えていくと、やはり広辞苑の説明がどうにも腑に落ちないものとなって感じられてくる。
 もう一つ引っかかる点がある。広辞苑第四版の「腕枕」の説明を読んでイメージしたのが「肘枕」であることだ。ちなみに、広辞苑第四版の「肘枕」の説明は「自分の肘をまげて枕の代わりにすること。」と表現されている。
 広辞苑第四版では、「腕」と「肘」の区別をどうとらえているのだろうか。少なくとも「腕枕」と「肘枕」とは別のものだととらえていることだけは確かだ。それは、次のことからわかる。
 「腕枕」の説明には「頭に当て」という語句が使われているが、「肘枕」の説明には使われていないということ。もう一つは、「腕枕」の説明には「曲げて」と漢字仮名交じりで表現されているが、「肘枕」の説明には「まげて」と平仮名で表現されていること。
 漢字仮名交じりの表記と平仮名表記とを区別することで、どのような効果をねらっているかは不明だが、あえて異なる表記を割り振り、さらに「頭に当て」という説明の有無という差をつけることによって、少なくとも「腕枕」と「膝枕」の意味の違いの何らかを表現しようという意志は伝わってくる。
 つまり、異なるものをそれぞれの方法で説明しようとしてのことだと受け取れるのだ。仮に同じものか非常に類似しているものだとしたら、これまでの例にならって説明の中に矢印を示し、かつ参照すべき見出し語を明記するはずだ。この作業がなされていない以上は、「腕枕」と「肘枕」は別個のものとして扱われているということだ。
 しかし、広辞苑の利用者としては、その両者の説明が結局は非常に区別しにくいものとなっていること、そして何よりも「肘枕」だけでなく、「腕枕」までが自分限定のものとされていること、また「腕枕」までが曲がった腕でなければならないとされていることに何よりも違和感を覚えるのだ。
 

どこにいるの? について

「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
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