日々雑感319「無理やりの善し悪し」

 無理を無理やり敢行することに価値を見出し、喜んで命を捧げることの幸福は、人間としては極めて自然なものだ。その幸福感は強烈で、どのように安らかで日常的な幸福感よりも勝る。
 そのために麻薬のようにその幸福感に依存することになるが、周囲の人々もそれを祝福し、賞賛し、その恩恵にあずかる。これを見て、ますますその人間は幸福感に浸ることができる。
 このように麻薬的ではあるが、実際の麻薬とは異なり、無理を無理やり敢行することは、社会的に高い評価を得られることが多い。きちんと自己満足から始まり、それが社会を構成する他人の満足につながっていくことが多いからだ。
 たとえ結果として社会のためにならなくても、その生きる姿勢は他の模範として評価され、記録される。特に怠惰な傾向に陥りがちな集団を教育し、その精力を善用するためには、頑張るモデルとして例示されることになる。また、そうしなければ、無用の無理やりを例示する過程で排除し、お互いの幸せのために整理する作業が進まないということもあるだろう。
 これが今ある社会の正体ではなかろうか。整理された「無理やり社会」といってもよいかもしれない。このある意味での「無理やり社会」のおかげで、多くの代償を払うことができたため、かつては大きな経済発展をしたり、戦争後の最低の地位から今の日本の国際的な地位を得たりした。そういってもよいのだろうと思う。
 戦争で多くの優秀な若者を戦地や内地で失い、日本全土が焼け野原となり、残された者が不幸のどん底に突き落とされたこと。しかし、いろいろな代償をはらったり、犠牲を払ったりして、経済を支え、取りあえずは滅びずにいること。
 こうしたことによって、国としての土台は変形したかもしれないが、今この地で生活できている人々がいる以上は、改善の光が消えたわけではない。どのようにすさんだ世の中になっても、そのかすかな光を希望として生きていけばよいのだ。
 すさんだ世の中を嫌って、この「無理やり社会」から、ほのぼのとした「無理のない社会」に変えていく必要はあるだろう。しかし、そのためにはどれほどの時間を費やさねばならないのだろうか。時間だけでなく、どれほどの代償を払わねばならないだろうか。想像もつかないが、それが人類の道のりであるのなら、踏みしめていくべきだろう。いずれ子々孫々が味わえばよい世界を創るために、今を乗り切ろうとする気持ちが僕たちには必要なのかもしれない。
 人々の価値観を覆し、今の豊かさから別の豊かさを見出すには、2世代では足らないだろう。身近な親子や家族を観察の観察から、古くは歴史の書をひもといても、最低3世代、4世代から5世代は軽くかかるように思われる。
 5世代を約100年としてみよう。その間に様々な理不尽と思われる事件が起こる。それらを体験し、感じることを積み重ねていくことによって価値観が変わっていくことになるのだろうと思う。
 衝撃的なことが、ある方向性をもって、何回も何回も起これば、自然に価値観は変化するだろう。どのような演説や書籍による啓蒙活動でも変わらなかったものが、事実というものの説得力を前にして自ら変形し始めるのだ。
 しかし、いかに無用でない「無理やり」でも、無用でないだけに長期的に見れば、有害となることもある。無用でないために長く積み重ねられ続けた「無理やり」の「つけ」がまわってくるのだ。
 「つけ」はいろいろな形で噴出する。残念ながら、「持続可能な社会」という、社会の基本的な性質をことさらに強調して言わなくてはならない時代だ。たとえそれが適正人口を保つための施策や、適正人口に移行させていくための施策を含んでいたとしてもだ。
 そうなると、無理やり頑張って成果を上げて、変な幸福感などに浸っているいとまなどない。その無理やりの集合体がとんでもない世界を維持したり、とんでもない世界をつくりあげたりする虞があるからだ。それは、ある特定の個人の強烈な意志というよりも、集合体の中に半分自然に組織づくられる神経のようなものの反応パターンによるのではないだろうか。それは組織の構造自体に潜む魔だといってもよい。

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どこにいるの? について

「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
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