怪しい広辞苑257「2018年1月、第七版発売だが」

 年の初めに第七版の出版のことを「怪しい広辞苑255」で述べたが、どのように広辞苑は改善されるのだろう。期待するとともに、どう改善したかを広辞苑の紙面で述べるのはやや難しいだろうと心配する。しかし、新しく掲載する単語は別として、第六版までの説明の間違いや不適切が、どのように直されたかを利用者は知りたいのだ。
 つまり、正誤表が欲しいのだ。従来の説明の間違いはこれがあればよい。第何版からの正誤表を作成するかは意見の分かれるところであろうが、まだ第二版も他の版と一緒に後生大事に使っている人もいる。削除された語句がありはしないかと不安だからだ。
 削除した語句の一覧をつける辞書など聞いたことはないが、広辞苑のようなロングセラーで、広く利用されているものであれば、やはり責任上、必要となってくると思うのだ。それが出さない以上、前の版も捨てられないという人もいるのだ。そんな人は少数だから切り捨てるという方針なのかもしれないが、岩波書店の姿勢はそのようなものではないと思う。
 ロングセラーでなくても、明治時代以前の辞書が、単に古いという理由で捨てられていたら、相当に困る人がいるはずだ。また日本語のことを考えるのならば、逆に切り捨てられたら困るという状況でなくてはならないだろう。
 間違った説明もさることながら、不適切な説明についてはグレーであるだけに厄介だ。そうした多くの単語たちが、どのように改善されたかは、これまでの版の説明と比較しなくてはならない。変えるということは、改善される方向ばかりとは限らないからだ。愛する広辞苑がよりよい方向をたどるよう切に願う。
 さて、編集会議には利用者サイドの意見が反映されるような仕組みが組み込まれているだろうか。編集の専門家だけでは辞書づくりは駄目だからだ。
 広辞苑の決定的欠陥は、収録語彙の圧倒的な多さにある。つまり、説明不足なのだ。説明をよりわかりやすく、しかも誤解のないように表現するのは並大抵のことではない。紙面には限りがあるから、文字数も限界がある。その限界の中でよりよい表現をしていく努力の過程で、辞書づくりの専門家が陥りやすい落とし穴にはまる可能性は、説明の文字数が少なければ少ないほど高まる。
 しかし、この欠陥も二分冊にすれば解消できることだ。紙媒体としての良いところを捨てずに出版し続けるのだから、それが生きるような方向性を持たせてほしい。二分冊にすれば、手の比較的小さな人たちにも優しいだろう。その分冊にした軽さが、利用率に影響を与えることは確かだろう。卓上の飾り度を減らすためにも考慮してもらえるとありがたい。そうでなければ電子版に利用者が流れるに違いない。だが、電子版にするにもいろいろな問題を抱えているはずだから、どうするのか見守りたい。
 説明のメリハリを持たせるためか、一単語あたりの説明の文字数のアンバランスにも問題がある。等しく文字数を割り振るのが、よりよい説明を実現するための条件ではない。だから、当然、一単語あたりの説明の文字数は異なる。しかし、それが適切なアンバランスになっているだろうか。
 こうした問題を解消するために付加すべき説明に要する文字数を大幅に食いつぶしているのが、現時点での用例の多さだ。古典を出典とするものの多さだ。その用例が適切であるかどうかという問題もあるが、果たして必要な用例なのかどうかという検討がなされているかどうかが問題だ。問題があればカットできるものはカットし、必要なものは一定の引用の仕方で引用し、用例とすべきだろう。これまでの引用の仕方に問題を感じている人はいると思われる。
 このような、特に古典を出典として引用した用例を多用するという伝統的な路線から外れるのは、広辞苑らしい色彩を薄めることになるかもしれないが、ニーズの薄い記事によって、誤解を招かないために必要な説明の文字数を減らしてはならない。そこを最も心配する。
 また、これまでも、無駄な空白部分を活用すれば、よりよい表現となる部分がかなりあった。その面積を有効に活用した、よりよい説明にするための文字数の付け加えはなされているかも心配だ。
 来年一月発売ということは、もう編集の変更がきかないだろうが、よりよい第八版めざして、一度捨てた単語も、時代の変化によって再収録すべき者がありはしないかどうかということも含め、検討してもらえればありがたい。特に専門分野の単語の説明については、監修者となる著名人に再度点検をしてもらいたい。編集の専門家ではなく、専門分野の専門家、しかも複数の方々にお願いしてほしい。
 そして、その専門家の方は、教え子、大学生でもよいが、彼らが誤解なく理解したかどうかを確認してから、編集部に回答してほしい。従来の編集では、それが十分にできていなかったはずだ。こうした問題を克服し、何とかベストセラーとなるよう、進化していてほしいものだ。
 

広告

どこにいるの? について

「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
カテゴリー: 怪しい広辞苑 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中