怪しい広辞苑126「第四版140ページ・イソロイシン」

 広辞苑第四版140ページ「イソロイシン」の説明。
 「必須アミノ酸の一。」とだけあるが、本当にこれだけの説明でよいのだろうか。他の必須アミノ酸の説明もこれと同じなら仕方ないとも言えるが、それではお粗末すぎる。
 必須アミノ酸の説明を相互に比較すると、その説明不足がよく分かる。「イソロイシン」はその中でも群を抜いて説明不足だ。これにはどのような理由があるのだろう。とにかく利用者はここで首をかしげることになる。
 確かに広辞苑第四版の後記には「一語一語に的確簡明な定義を与え」という文言がある。文字どおり「的確簡明」なのかもしれない。しかし、「ヒスチジン」以外の必須アミノ酸の説明に「必須アミノ酸の一」という説明を等しく加えている以上、他との区別をするために、その機能や性質をどうしても加えなければ、どのような理由があろうとも、「定義を与え」たということにはならないと思われるのだが、どうだろう。
 また、その他にも「蛋白質の構成成分」「蛋白質の成分をなす」「ほとんど全ての蛋白質に含まれる」などのように表記の揺れがあるため、こともあろうに利用者はそこにどのような意味合いの違いがあるのかを考えて判断することを迫られる。考えさせられても、情報不足のために結局は腑に落ちないので、それが広辞苑利用者にとって大きなストレスとなる。
 ところで、「ヒスチジン」が、広辞苑では必須アミノ酸としての扱いがなされていないというのはどういうことだろうか。広辞苑第四版を新たに出版する1991年時点では、とうの昔に必須アミノ酸として扱われていたと思われるのだが、これは僕の勘違いだろうか。

①イソロイシン…………必須アミノ酸の一。 
②トリプトファン………芳香族アミノ酸の一。必須アミノ酸として、生体内でインドール・セロトニン・ニコチン酸などの生成に関与し、生理上重要な物質。
③トレオニン……………必須アミノ酸の一。蛋白質の構成成分。スレオニン。
④バリン…………………必須アミノ酸の一。蛋白質に多く含まれ、TCA回路に関与する。
⑤ヒスチジン……………蛋白質を構成するアミノ酸の一つ。塩基性を示す。
⑥フェニルアラニン……芳香族アミノ酸の一つ。卵白などの蛋白質に含まれ、生体内では代謝経路のなかでチロシンに変る。必須アミノ酸の一つ。
⑦メチオニン……………必須アミノ酸の一。硫黄を含み、蛋白質の成分をなす。
⑧リシン…………………必須アミノ酸の一。ほとんどの蛋白質の成分で、特にヒストン(核蛋白質)・アルブミン・筋肉蛋白質に多い。食物に添加して栄養価を高めるのに用いられる。リジン。ライシン。
⑨ロイシン………………必須アミノ酸の一。ほとんど全ての蛋白質に含まれる。
 
★ホームページに戻る

どこにいるの? について

「がんばったら疲れる。疲れたら休む。休んだらがんばる。」ということにしておこう。
カテゴリー: 怪しい広辞苑 パーマリンク

コメントを残す